極上お姫様生活―2―【完】


「ね、お母さん。あたしお母さんの事大好きだよ。今までもこれからも」




ずず、と鼻を啜るお母さんの手を握る。


あたしがどこにいたって何も変わらない。それを分かってほしい。




「お母さんだって蒼空が大好きよ。だからまた一緒に暮らしたいの」


気持ちは理解し合っているはずなのに、お互い譲歩しようとしない。お母さんも、引き下がろうとしなかった。




どうしよう、どうしたら説得できるんだろう。






「お前が学校に馴染んで楽しくやっているのは知っているよ」


「お父さん……」



冷めてきた紅茶から手を離しテーブルの上で両手を合わせ握る。知っているとは言うものの、諦めてくれないかと目が訴えていた。



……ダメ、かもしれない。





目の前にいる二人はきっと許してくれない。あたしが辞めると言うまで、絶対に許してはくれないんだ。







膝の上に置いた拳を固く握り締める。もう泣き出してしまいそうだった。





「…………、蒼空の事、認めてやってくれませんか?」


握った拳に八木原君の手が包むように重なる。顔を上げると、一瞬だけ目が合ってすぐに前に向き直った。




安心する声と体温を感じてあたしは瞳を閉じる。




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