極上お姫様生活―2―【完】
「この前、須賀 楓汰と話をしてきたの。思ってたより……悪い人じゃなかった」
「、」
楓太の事を話すと、ピクリと繋いでいた八木原君の手が動いた。あれれ、もしかして嫉妬した?
覗き込むようにチラリと見れば向こうもあたしを見ていてばっちり目が合う。むぅ、と口を尖らせる彼に思わず笑みが溢れた。
「そう、あなたのおかげで……」
そんなあたしたちを見て安心したようにお母さんが口元を緩める。
「俺はなにもしてませんよ。ただ、蒼空の事守りたいと思うだけです」
「……そうか」
お父さんが笑顔を噛み締めながらうんうん、と首を縦に振った。
「もう誰にも蒼空を傷付けさせません。約束します」
八木原君……。
「だからお願いします。これからも蒼空を、あの学校に通わせてくれませんか?傍に、いさせてくれませんか?」
八木原君が深く頭を下げる。それに驚いたお父さんが慌てて顔を上げさせた。
ここまで言ってくれるなんて……。嬉しくて綻んだ顔に力を入れ直し、あたしは二人を見つめた。
「あの学校に、信頼できる友達がたくさんいるの。それに、八木原君もいる。……もう今までのあたしじゃない」
何があっても彼らとなら大丈夫。あたしはお母さんとお父さんを交互に見て、心配しないでと笑ってみせた。