極上お姫様生活―2―【完】
◎LOVE*LIFE/#12
幸せということ
「まぁ……でも、少しくらいご褒美もらっても、バチは当たらねぇよな」
「え?」
急に歩くスピードを緩め、あたしの肩に腕を回す。え、え、戸惑うあたしを尻目に、八木原君は楽しそうにククク、と喉を鳴らした。
「そうだな、何にするか。タメ口な蒼空も可愛かったし泣き顔もそそられるしなー」
ななな、何を言ってるんだこの人は。
「や、っ八木原君」
「でもやっぱり」
ピタリと足を止めあたしの身体を正面に向かせて、そのまま不意打ちでキスをする。
「俺の事、名前で呼べよ」
真っ直ぐな瞳に射抜かれるような感覚。あたしは目の前の八木原君から目を逸らせなかった。
「な?蒼空、呼んで」
耳元で響く甘い低音。頭がクラクラして、……あ、と情けない声を出してしまった。
彼の声に、目に、動きに惑わされながら操られるように口を開く。
「い、つき……」
聞き取れるか分からないほどの小さすぎる声だったと思う。それでも言った!あたしは言ってやったぞ!
「ひゃ、……んんっ」