極上お姫様生活―2―【完】
「信じられねぇみたいだぜ?ほら、お前からも言ってやれよ」
ニヤリ不敵に笑った斎があたしの顔を覗き込む。
……あたし今、火照った全身を冷ますために落ち着こうとしてるんですよ。そんな余裕ないです。
だけど斎はそんなの知らねぇ、と意地悪を言ってくる。どうやら逃げられないようです。
「あたし、……いいい、斎の事好きなんです。だから……その、」
「いいよそれ以上言わなくて。十分だろ」
満足そうに微笑んだ斎があたしの顎を掴み、んちゅっと唇を押し付けた。
びっくりして目を閉じると遥登君たちの悲鳴が不協和音になって耳に飛び込んでくる。
「い、嫌だあ!!無理無理無理無理無理無理!!認めない認めない!!!」
「う……嘘だろ」
「……これは少々、ダメージが」
斎があたしの両耳を塞ぐ。その行為はまさに、二人の世界の出来上がりを示していた。
「手ぇ出すぞ!俺は絶対手ぇ出す!!」
あたしと斎の間を引き裂くように橘君が割って入る。その目にはじんわり涙が滲んでいた。
「まだちゃんと告白してねぇんだ!諦められっか!!」
え……?告白?
「っ……!」
首をかしげると橘君はハッと我に返ったように口を自分の手で塞いだ。