極上お姫様生活―2―【完】
松神先生の腕に巻き付く翼がいえーい手を上げる。
「うはっ、幸せそうだな斎」
松神先生がニヤリ笑う。
「まぁな。この上ない幸せに包まれてるぜ俺は」
勝ち誇った笑顔を見せつけるのはいいけど……ちょっとこっちの心臓が持ちそうにないんですけど。
「あらあら、あんたたちは絶望的な顔してるわね。大丈夫?」
翼が面白がってわざとらしく心配したフリをするけど、みんなの反応は思っていたものと違って。
「いや……もう大丈夫」
遥登君がゴシゴシと目を擦ってにひ、と笑う。
「ちょっと辛いけど、僕にとって蒼空の幸せが一番なんだ。だから僕は、祝福する」
ふぅ、と息を吐いた櫻田君もどうやら落ち着いたみたいで。
「そうだな。蒼空を好きだからこそ、邪魔するわけにはいかないな」
橘君はやっぱり少し納得がいかなかったみたいだけど、それでも笑って。
「分かった。すぐには諦められないけど、でも……おめでとう、二人とも」
みんなの優しさが嬉しくてあたしはまた頭を下げる。
ありがとう……ありがとう。
「え、何、修羅場終わり?つまんないのー!」
温まった空気に水を差す翼。……今すごく感動する場面だったのに、ほんと、この人は。