極上お姫様生活―2―【完】
「なぁ斎、お前は蒼空の事どう思ってるわけ?弄ぶだけの玩具なのかよ」
遥登君は鋭く八木原君を睨み付けて、怒りを含んだ声を出す。
「んなわけねぇだろ」
黙っていた八木原君が口を開いた。遥登君と同じ目をしながら、ゆっくり立ち上がる。
「大事にできない辛さが、お前に分かんのかよ」
ゆらり遥登君に近付いて、その胸ぐらを掴み上げた。
「斎…っ!」
慌てて止めようとした橘君が、遥登君の手によって制される。
「……どういう意味だよ」
「俺だってな、我慢してんだよ。……今抱えてる問題が解決しない限り、俺にはどうする事もできない」
今にも爆発してしまいそうな感情を必死で抑えるように、握った手にキリキリと力を入れる八木原君。
「八木原君…っ」
苦しそうに顔を顰める遥登君を見て、慌てて八木原君に近寄る。胸ぐらを掴んでるその手に触れると、八木原君は躊躇いがちに手を離してくれた。