極上お姫様生活―2―【完】
「お前らには悪いと思ってるよ。…でも、今は話せない」
苦しそうに、悲しそうに……八木原君は言葉を紡ぎ出す。
みんなは押し黙ったまましばらく顔を見合わせていたけど、やがて櫻田君が重い口を開いて、ため息を吐いた。
「それが話される時は来るんだろうな」
その目は、いつも通り優しくて。
「当たり前だ。絶対話すよ」
その場の空気が和らいだ気がした。もうさっきまでのピリピリとした雰囲気はない。
「…ごめん、斎。何も事情知らないのに、勝手に怒ったりして」
遥登君が申し訳なさそうに眉を下げる。八木原君は遥登君のしょんぼり下がった頭を撫でて笑った。
「俺こそ、蒼空を泣かしたのは事実だ。…悪かった」
八木原君の視線が、あたしに移る。急に目が合ってビクリとしてしまった。
「蒼空、ごめんな」
「い、いえ…!」
今はただ待つ事しかできないけど、いつか八木原君が話してくれた時…あたしはその全部を受け止めよう。
きっと大丈夫だよね。何があってもあたしは八木原君が好きだから―――。