極上お姫様生活―2―【完】
「……」
しん、と静まり返った部屋でノートに視線を落とす。
…駄目だ、集中できない。
別れ際に遥登君に言われた一言が頭をグルグル駆け回って止まらない。
‘お前の唇もらうから’
「…~~っ」
思い出しただけで全身の熱が上がる。
遥登君、真剣な目であたしを見てた。冗談だよって言わなかった。
「……どうしよう」
多分、誰も赤点取らないと思う。あたしは誰かにキスしなきゃいけない…。
ひいいいい!無理!
思わず力が入り、手元のルーズリーフがぐちゃぐちゃになってしまった。
「あ…」
はぁ、とため息を吐いても問題は解決しない。もやもやとした気持ちを抱えつつも、今は勉強に没頭するしかない。
あたしが赤点を取ったら何の意味もないんだから。
パン、と軽く頬を叩いて自分に喝を入れる。―――集中しなくちゃ。