極上お姫様生活―2―【完】




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一日2教科、全部で5日間。



それは嵐のようにあっという間に過ぎ去って。




最終日の放課後。先生とちょっとお話をしていたらすっかり遅くなってしまった。


「……進路、か」




内容は進路について。大学に行くのか就職するのか。



そろそろ決めないといけないらしいけど、……分からない。自分の事なのに先が見えない。





あたしの学力じゃ有名な大学には行けないし。したい事があるわけじゃない。



「やっと試験が終わったのに……一難去ってまた一難だよ…」




とぼとぼと寮へ足を進める。




「おかえり」



しょんぼり下げていた頭を上げると、八木原君があたしの部屋の扉に寄り掛かっていた。





「八木原君…」


「試験お疲れ」




癒されるほど柔らかな笑顔であたしに微笑みかける八木原君。……あれ、何か泣きそう。





「お疲れ様ですっ!どうぞ、入って下さい」



悟られないように八木原君から顔を背けて扉を開ける。でも、いつまで経っても八木原君は部屋に入ろうとしなかった。



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