極上お姫様生活―2―【完】
「大学、ですか」
「親に仕事継げって言われてるけど、やっぱ自分のやりたい事諦めらんねぇし」
堂々と言ってのける八木原君。
「やりたい事…?」
そう聞くと、八木原君は待ってましたとばかりに目を輝かせた。
「教師になりてぇんだ」
せ、先生!?
八木原君はどこか遠くを見て優しく笑う。誰か、思い出す人がいるのかな。
「生徒の気持ちを理解できる立派な教師になるのが、俺の夢」
「か、かっこいいです!」
すごい、ちゃんと自分に夢があって、目標があって。尊敬しちゃうよ。
「八木原君なら素敵な先生になれます!」
「…さんきゅ」
精一杯の笑顔を向けると、八木原君も嬉しそうに笑い返してくれた。
いつか、見たいな。八木原君が先生になって勉強を教えてるところ。かっこいいんだろうな。
「じゃあ、蒼空は……」
「え、?」
八木原君が口を開いてすぐ閉じた。まずい、と気まずそうに目を逸らす。