極上お姫様生活―2―【完】
あたしは涙を拭いながら何度も大きく頷く。
「八木原君の事信じてますっ…」
八木原君はふっ、と笑い、強く抱き締めてくれた。あたしも大きな背中に腕を回す。
何があっても離れないように、ぎゅっと力を込めて。
「…もういいですか?」
突然の声にビクリと肩が跳ねた。八木原君も同じだったみたい。
我に返って顔を上げると、だるそうに欠伸をしながらこちらに近付いてくる松神先生が目に入った。
「せ、先生…!?」
「んだよ、ビビった」
先生は何も言わずにあたしたちの目の前までくると、ニッコリ笑いながらあたしの両肩を持つ。
「…え?」
訳が分からずきょとんと首を傾げると、そのまま押されて、八木原君と距離を離された。
「苛々するんで、いちゃつかないでもらえますか?」
笑顔なのに目が全然笑ってなくて。
「おい、蒼空に触んな」
「仲良しなのは結構ですが、人の目も気にした方が良いですよ」