極上お姫様生活―2―【完】
話が思いもよらない方向に進んでおります。
「手の甲、なんてどうだ?」
「あー何か湊っぽい」
「俺は耳だな」
「耳ってお前、変態かよ」
「あ!?じゃあ斎はどこがいんだよ!」
ちょっとみなさん、待って待って。なに勝手に決めてるんですか。
そりゃあ唇にキスするよりはハードル低いと思うけど…。
「俺は唇しか認めねぇ」
すぐ横から八木原君の声が聞こえたと思ったら、グイと顔を上げられる。
「え、」
思考回路ストップ。後頭部に回された手の温度を感じる前に、八木原君の顔が一気に近くなった。
「…っ、ん」
キスされてるっ…!!?
唇はすぐに離れた。一瞬のキス。それでもあたしの体温は、沸騰しそうなくらい上がる。
「ごちそーさま」
公衆の面前でいとも簡単にキスした八木原君は嬉しそうに笑って、固まったままのあたしの手を引く。
「ちょっと待てこら!!」
その後、橘君たちにも唇にキスされたのは言うまでもない、かな。