極上お姫様生活―2―【完】
朝陽の決意、翼の涙
「はぁ~~~~…」
隣から聞こえる深い深いため息。
「はぁ~~~~…」
これは自分のため息。
「何よ蒼空、そんな深いため息ついちゃって。幸せ逃げるわよ」
「翼に言われたくないです」
あたしより深いため息ついてるくせに。
「なに、どうしたの?」
聞いて下さいよ、あたしさっき4人の男の子にキスされたんですよ。しかも唇に。
「今どきの男子高校生って、みんなあんな軽いんですかねー」
簡単にキスするなんて、チャラいにも程がある。
「男なんてみんなそんなもんよ、所詮身体が目当てなんでしょ」
やけに刺のある翼の言い方。その声色には明らかに怒りが含まれている。
「…何かあったんですか」
しばらく待っていても何も言わない翼を不審に思い、ちら、と横を盗み見ればぐしゃぐしゃになった翼の横顔が目に入る。
彼女はいつの間にか泣いていたらしい。
「……もう、駄目かも」
松神先生と何か合った事は明白で。