極上お姫様生活―2―【完】
「翼…」
「私からは何も言えないけど、蒼空なら…貴女なら大丈夫。私はずっと、蒼空の味方だし」
ね?と明るく笑われ、あたしは何も言えなくなる。翼の笑顔を見れば不思議と安心できた。
「辛いのは分かるけど学校も行かなきゃ駄目よ。明日からちゃんと通うこと、いい?」
「……はい」
そう、だよね。このままじゃあ駄目だよね。
ぎゅ、拳を強く握りしめてあたしは真っ直ぐ前を見据えた。大丈夫、あたしは大丈夫。
「さて、そろそろかなー」
「え…?」
翼がニヤリと笑いながら玄関に目を向ける。つられてあたしも視線を移せば。
―――蒼空ー。
橘君の声。…今日も来てくれたんだ。
「ほら、まずはあいつらに会う事から始めようか」
「え、あ、ちょっと待っ…!」
心の準備が出来てないですううう!!
「はーい、いらっしゃい」
「若宮先生!?」
「蒼空なら中にいるわよ」
翼に促された橘君、遥登君、櫻田君と目が合う。みんなを見るのは何日ぶりだろう。