極上お姫様生活―2―【完】
「蒼空、帰んのか?」
さっきからそわそわ落ち着かない蒼空に声を掛けると、蒼空はビクリと肩を震わせて俺を見た。
「あ…えと、はい」
寮には戻るみたいだけど、…何か隠してんな。
「蒼空」
「は、はい…何でしょうか八木原君」
両手を机について、蒼空を机と俺で挟む。後ずさってもガタリ机が音を立てるだけ。
「俺に隠し事はなし。全部言え」
どんな小さい事も秘密にされたくない。ただの我が儘だけど、譲れない。
「っ、でも…あの」
俺と距離が近いのを気にしてるのか、蒼空はふいと顔を逸らし目を泳がせる。
「言ってみ、どした?」
「……っ」
やがて決心したように蒼空が顔を上げて。
「松神先生と、翼の事です…」
あぁ、やっぱり。と心の中で思った。
俺が喧嘩したなんて言ったから、気にしてるんじゃないかとは思ってたし。
「これから、翼に話を聞きます……」