極上お姫様生活―2―【完】
「これ、授業のノート。自分なりにまとめたんだ」
「え…?」
照れくさそうに頭を掻きながら、櫻田君があたしにノートを手渡してくる。
一冊、二冊……数え切れないほどの色ちがいのノート。
「テストも近いし、一応。分からないとこがあったら、遠慮なく言ってくれ」
あたしのために、まとめてくれたの…?
一番上のノートを捲る。そこには丁寧な字が並び、時々ポイントと書かれた付箋が貼ってあった。分かりやすく所々に赤線も引いてある。
「櫻田君……ありがとうございます…!」
嬉しい。勝手な都合でズル休みしていたのが、すごく恥ずかしく思えた。
「無理はしなくていいから」
そう言ってふっと優しい笑みを溢しながら、あたしから離れる橘君。
「…はい」
辛いからって目を瞑ってたって仕方ない。前に進まなきゃ。
諦めるなんて嫌だもん。やるだけやってみよう。
「もう大丈夫です。明日からちゃんと学校行きます!」