極上お姫様生活―2―【完】
彼女の肩に置きかけて躊躇した手を、俺は今度こそしっかりと置く。
大丈夫だよ、と、安心させるように。
「何か……あったんですか」
正直聞いていいか迷った。彼女のトラウマを掘り返す様な真似をするわけで。
俺だったら余計なお世話だと感じるし。
なるべくそっと問い掛けたのだが、未來は黙ったまま口を開こうとしない。やっぱりまずかったかな。
「赤の他人がなに出しゃばってるんだ、って感じだよね。ごめん」
申し訳なく思って慌てて謝る。なに無神経なことをしてんだ俺は。
気が付けば距離も少し近すぎたか。蒼空の友達だからって意識しなさすぎた。
「おわ……っ」
彼女から離れようと立ち上がる前にグイと服の裾を掴まれて情けない声を出してしまった。
「待って……あの、謝らないで下さい……」
うるうると瞳を揺らしながら、戸惑った表情で俺を見つめてくる未來。
「あ……、の」
何かを俺に伝えようとしてくれてる。……なら、俺もそれに応えよう。
立ち上がりかけた身体をストンと降ろし、ん?と優しく微笑みながら先を待つ。