極上お姫様生活―2―【完】
「話……聞いてくれますか?あたし、あなたにだったら話せそうな気がします」
未來は緊張しているようで拳を握ったまま身体を固くしてる。
俯き加減で、俺と目も合わせようとしない。
多分相当辛いトラウマがあったんだろう。それを、勇気を振り絞って俺に話そうとしてくれてる。
「俺でいいならいくらでも聞きます。……だから、そんなに緊張しないで」
肩をぽんぽんと軽く叩く。未來の身体は一瞬跳び跳ねたけど、次第に力が抜けていくのを感じた。
「あ、……ありがとう」
「うん。ゆっくりでいいから……な?」
未來は小さく頷いてふぅー、っと息を吐き出してから、ポツリポツリ話し始めた。
「男嫌いってやつなんですけど、それも極端な」
「……」
「父親がDVだったのと……中学生の頃レイプされかけた事があって……それがトラウマで。もう駄目なんですよね、男ってだけで拒絶反応が出ちゃって」
未來はぼんやり遠くを眺めたまま、時々言葉を詰まらせながらゆっくり気持ちを吐き出していく。
「高校入ってすぐ、しつこく迫ってきた先輩を……突き落としちゃったんです、階段から」