極上お姫様生活―2―【完】
「とにかく、さっさと返事しちゃいなさいよ。ごめんなさいって」
簡単に言ってくれるなよ。それが出来たら最初からやってるっつーの。
「……携帯返して」
ちょいちょい手を動かして促すけど、姉の冷たい目がさらに冷たくなっただけで。
「迷ってるんなら、あんたに蒼空ちゃんを好きになる資格はないよ」
グサリ―――姉の言葉は寄り道することなく、恐ろしいほど真っ直ぐ俺に突き刺さってくる。
「んだ、それ」
「当たり前でしょ。誰かを好きになるって簡単なことじゃないのよ。何を犠牲にしても好きでい続ける覚悟が必要なんだからね」
覚悟。俺にはそれが足りないってことか。
「ねぇ斎、あんたはできるの?これから先、同じことがあったら迷わず誰かを傷付けられる?蒼空ちゃんを泣かさないって約束できる?」
「……」
俺の心ん中にある一番は、蒼空を悲しませたくない、だ。でも……だからといって誰彼構わず傷付けることなんてできない。
「その沈黙が、あんたの答えじゃない」