極上お姫様生活―2―【完】
傷付けないために
結局言い返すことができなかった俺は、ひとり部屋に籠もってあれこれ考えを巡らせた。
そろそろ返事をしないと、全てが有耶無耶になってしまう。それは未來も蒼空も傷付けることを意味していた。
「……はぁ、」
軽い気持ちでアドレスなんか教えるんじゃなかったと後悔してみても、何かが変わるわけでもないし、
「蒼空が、好き……」
自分の想いを再確認しても、状況が変わるわけでもない。
‘好きになる資格はないよ’
姉の冷えた言葉が頭をぐるぐる駆け回る。振り払おうと頭を揺らしても、あれは紛れもない図星なわけで。
「……迷い、か」
どうしたら消えんだろうな。蒼空以外の女なんて考えらんねぇのに。
携帯を掴んで、カチカチとメール作成画面を開く。数十分悩みに悩んで、本文が完成した。
「……悪ぃ」
ボソリ呟く。罪悪感を少しでも和らげようとしたけど、余計苦しくなるだけだった。
俺は間違ってない。必死に自分に言い聞かせながら、半ば自棄糞で送信ボタンを押した。