極上お姫様生活―2―【完】
「なに言われても……嫌いになる自信ないかな」
えへへと髪をいじりながらはにかむ未來。余裕があるみたいだった、さっきの泣きそうな雰囲気はどこかにいってしまったように。
「あたしにも、一ミリくらいはチャンスあるんじゃない?」
期待されても困る。心が揺らぐ事は、きっとないから。
「それでも俺は蒼空が好きだから、……もう、会うのは最後にしよう」
俺がそう言うと、未來は寂しそうに項垂れてはぁ、とため息をつく。
「あーんまり手荒なまねはしたくなかったんだけどなー、仕方ないっか」
目の前の女は誰だ、そう言いたくなるような口調。明らかに変わった態度。鋭い目付き。
「未來ちゃ―――」
「驚かせちゃったかな?あはは、でもこれが本当のあたしだから」
下卑た笑いと無邪気な笑顔。そのギャップにちょっと戸惑いを隠せない。彼女は本当に、未來なのか。
「いいから諦めなさいよ、あんたはあたしと付き合うの。分かった?」
「……ふざけんな。俺は蒼空を諦めないし、お前とは付き合わない」
未來の本性がこれだったわけか。もう友達でもいられないな。