極上お姫様生活―2―【完】
「もー、強情なんだから。……蒼空がどうなってもいいわけ?」
「……っ!?」
俺を睨みながら聞いた事のない声を出す未來。苛立ちと脅しを含む、愉しそうな声。
「蒼空には絶対手を出すな。出したら……」
「出したら?」
拳を握り締める。蒼空を傷付ける事だけは、たとえ女でも許さない。でも未來は、蒼空の親友だから……蒼空は俺より未來をとるかもしれない。
蒼空に未來の本性を話したって、何でそんな嘘をつくのって泣かせるだけだ。
「っ、」
「あんた蒼空にベタぼれだもんねーあははははは」
後悔したって、もう遅い。どうすれば、未來は身を引いてくれるのか。
「馬鹿な事考える前にさっさと言っちゃえば?あたしの彼氏になるって、ね」
……嫌だ、死んでも嫌だ。でも、……蒼空が傷付くのは、駄目だ。
「お前とは付き合わないし、俺は蒼空を泣かせたりしない。何があっても守ってみせる」
「そうかしら?仮に今、あんたが蒼空と付き合えたとしても、あたしが壊すまで。幸せになんかなれないわよ」
クスクスと嘲笑いながら、未來は携帯を開く。
「じゃあもう時間だから。せいぜい頑張って足掻きなよ、……蒼空は渡さないから」
その言葉に秘められた未來の本当の気持ちに気付くのは、もう少し先の話。