極上お姫様生活―2―【完】
「お前、キレると女相手でも容赦ないだろーが」
「だから何だよ。蒼空以外の女なんてどうなっても構わない」
「ばか、未來は蒼空の友達なんだよ。未來を傷付けたら、蒼空も傷付けることになるぞ」
八木原君はあくまでも宥めるように、遥登君を説得する。
遥登君はぶぅ、と頬を膨らませていじけた様子だったけど、八木原君の言葉にハッと顔を上げた。
「嫌だ…っ、蒼空が傷付くのは、絶対嫌だ」
駄々っ子のようにぶんぶん首を振る遥登君の髪が、ふわり、ふわり、柔らかく躍動する。
「だったら我慢しろ。今は耐えてくれ」
「……分かったよ」
渋々、了解してくれた遥登君だけど、やっぱりまだ納得いかないみたいで。
口を尖らせながら握り拳を見つめている。
「遥登君、ありがとうございます」
そこまであたしの事を想ってくれて、本当にありがとう。その気持ちを込めて、あたしは遥登君の手を両手で包む。
「蒼空……」