極上お姫様生活―2―【完】
「何かあったら、すぐに連絡しろよ」
「……分かりました」
力強く頷いて、あたしは八木原君を見つめる。八木原君の手を握るだけで、勇気が出る気がした。
「信じて、待ってるから」
「はいっ……!」
その夜、未來ちゃんにメールをするとまるで何事もないかのような返信がきた。
今までと同じ。何も変わらない未來ちゃん。
八木原君が告げ口したなんて言いたくない。あたしは久しぶりに会いたいと、それとなく未來ちゃんを誘った。
未來ちゃんも至って普通にそれを承諾してくれた。……その反応はまるで、八木原君の言っていたことが嘘のようで。
信じられない気持ちが心で揺れていた。
何をどう言おうかどう伝えようかまだ迷ってるけど、気持ちを偽るのだけはやめようと決めていた。
例え友達でいられなくても、後悔しないように。
ぎゅっと携帯握りしめて目を瞑る。思い浮かべるのは、八木原君の柔らかい笑顔。
目を細めて、優しく笑い掛けてくれる彼を想像するだけで、あたしも自然とにやけてしまう。
早く、早く。
「……好、き」
付き合いたい―――。