極上お姫様生活―2―【完】
「未來ちゃんは、八木原君が好きなんだよね……?」
いきなり罵声を浴びせられるかな、なんて思ってたのに。蒼空の口から出た言葉は、あまりにも意外で。
「は?」
この子は一体何を言っているのだろうか。
「か、隠さなくていいよ。だから、あたしが八木原君に近付くのが嫌なんだよね」
そりゃそうだよね、とか勝手に納得して今にも泣き出しそうな顔をする蒼空。
「あの、」
待ってよ。
「仕方ないよねっ、だって……好きになっちゃったんだもんね」
ちょっと待ってよ。
「未來ちゃん、男の子嫌いって言ってたから……ずっと心配してたんだ」
待てってば。
「ほんとは協力したいけど―――」
「あたしが好きなのは蒼空だってば!」
声を上げて遮る。もう聞いてらんない。
きょとんと目を丸くする蒼空に、叩き付けるように言葉を投げる。
「あのねぇ、なに勘違いしてるかしらないけど、あたしは八木原斎に好意なんて一ミリも抱いてないから!!」
むかつく。あたしがあんな奴、好きになるわけないじゃない……!