極上お姫様生活―2―【完】
約束したのは中学の時の話で。蒼空が覚えてないことくらい分かってる。
というか、そんな古い話を今になって持ち出すとかあたしはなんて卑怯で面倒臭いんだろ。
でも、溢れた涙はとどまることを知らない。
「……もちろん、覚えてるよ」
「嘘……っ!」
「嘘じゃないっ!!」
蒼空はあたしの言葉を遮るように声を張り上げた。
それに驚いて、きょとんとしてしまう。
「……あたしが初めての彼氏に騙されて、みんながあたしから離れていったとき、未來ちゃんだけは……あたしのこと気にかけてくれた」
っ……。
違う。あたしは何にもしてない。他の奴らと同じように、蒼空から離れた。
何にも、出来なかった。
「別に、気にかけてなんか……」
「隠された上履きとか、捨てられた教科書とか、どんなに探しても見つからなかった物が……気がつくといつも机の上に置いてあったの」
……あたしは、なにもしてない。なにも―――。
「それって、隠してたり捨てたりしてるところを見てた未來ちゃんが、あたしに返してくれたんでしょ?」
確信的に、迷いのない真っ直ぐな瞳であたしを見る。