極上お姫様生活―2―【完】
「未來からは何も聞かなかった。ただ……ここにお前がいることだけを教えてもらっただけで」
「そ、ですか」
素っ気なく返事をしてしまう。と、八木原君は苛立ったようにあたしの腕を掴んだ。
「全部お前から聞くって決めてるから何も聞かなかった!隠し事はなしだろうが……っ」
「っ、」
「……俺を見ろよ、蒼空!!」
縋るように吐き出された言葉があたしを貫く。
「八木原君っ……」
堪えきれなくて溢れた涙も拭わず、あたしは八木原君の胸ぐらをぎゅっと掴み顔を上げた。
「助けて下さい……!」
一瞬だけ目を見開いた八木原君は、すぐに切なそうに目を細めて。
「当たり前だろ……!」
強く抱き締めて、壊れちゃいそうな心を温めてくれる。
「……っ、」
視線が絡み合って、迷いなくお互いの顔が近付く。恥ずかしくて目を伏せれば、顎を掴まれて上を向かされた。
「俺のこと、見て」
甘く囁かれた言葉が滲んで、何も考えられなくなる。
「やぎ―――」
言いかけたあたしの唇を奪うように塞ぐ八木原君。その温もりに酔うひまなく、強引に口を開けさせられた。