極上お姫様生活―2―【完】



「っ、ん……っ」



苦しくなる息。霞む目の前。……でも、離してほしくない。





何度も角度を変えながら、余裕のないキスの雨を降らせる。



「、っは……」





「傍にいる、……放さねぇ」



ぼんやりとした意識の中で八木原君の声だけが響く。





あたしはうんうんと頷きながら彼をぎゅっと抱き締めた。ここに八木原君がいてくれる。……何も怖くない。







「八木原君……好きです」



「っ、蒼空……」





あたしは八木原君と幸せになりたい。他の誰でもなく。



その気持ちが抑えきれなくて、めいいっぱい背伸びをして自分から唇を押し付けた。





好き、好きだよ。






八木原君は、あたしの腰に手を回して引き寄せながらそれに応えてくれた。




八木原君も、同じ気持ちでいてくれてるって……ちゃんと伝わる。













と。



「っ、!」





携帯の振動を感じて、思わず身を引いてしまった。



「蒼空?」






< 92 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop