極上お姫様生活―2―【完】
「また、メールが……」
「また?」
携帯を握りしめたまま確認するのを躊躇していると、八木原君が苛立ったようにあたしの手から携帯を奪い取った。
「貸せ」
「っ……、」
どうしようもできず、携帯を持っていた手を握りしめる。どんなに強く握っても、カタカタと情けなく震えてしまう。
「大丈夫だから」
それを見た八木原君が安心させるように、自分の手をあたしの拳に被せる。
戸惑いがちに手の力を抜けば、今度はしっかり握ってくれた。
「見てもいいか?」
「、はい……」
カチカチと携帯を操作する音だけが、静寂の中に響く。あたしの耳にはバクバク暴れまわる心臓の音しか聞こえないけど。
「―――『中学の頃は酷いことしてごめん。ちゃんと逢って謝りたいんだけど』……?」
「っ!!」
彼は、今さら過去の清算をしようとしてるの……?
「これ、まさか……」
八木原君の顔色が変わる。
黙って頷くと、八木原君は顔をくしゃり歪めた。ギリギリと携帯を握り締めているのが分かる。