極上お姫様生活―2―【完】
「ちょっと、俺は今蒼空と話してんの。邪魔しないでくれるかな?」
子供をあやすような、馬鹿にした笑顔を八木原君に向ける。
「お言葉だけど、全力で邪魔させてもらうわ」
ハン、と八木原君が鼻で笑うと彼は苛立ったように表情を消して八木原君に一歩近付いた。
「うっぜぇなぁ……なに、なんなのお前」
「あんたこそ、今さら蒼空に何の用だよ」
あたしの目の前で、八木原君と須賀楓汰が対峙してる。ええと、こういう場合……どうすればいいんだっけ。
「ふ、二人とも……ちょっと落ち着いて下さ―――」
「気に食わねぇ、お前今すぐ蒼空と別れやがれ」
あう、遮られた。
「あ?それは無理な話だな。俺は蒼空を守るって決めたんだ。あんたみたいな奴からな」
「っは、言ってくれるねぇ」
もはや何を言ったって、二人はいがみ合うことをやめない。それどころか、すぐにでも殴り合いを始めそうな勢い。
「つーかさ、あんた蒼空にどれだけ酷いことしたか分かってんのかよ?」
「んな当たり前のこと聞くんじゃねぇよ。もちろん覚えてるに決まってんだろーが」
「っ、」
ピクリ肩を上げると、一瞬八木原君があたしへと視線を移した。