屋上で
屋上で
【千春side】
今は6月。
梅雨の時期だけど、今日は運良く晴れているので、私は親友の亜美と屋上で談笑しながらお昼を食べていた。
「ねぇ、千春!“風上冷時”って人かっこ良くない?」
そんな時、いきなり亜美から思ってもみない人物の名前を挙げられた。
「――――え?今なんて?」
まさか高校でも彼の名前を聞くなんて思ってもみなかった。
「だ―か―ら―!風上冷時!別名氷結王子とか呼ばれてる人!かっこ良くない!?」
「……そんなにかっこ良いの?」
私はドキドキしながらも平静を装い、問いかける。亜美の話によると、ますます私の苦手な“彼”を連想してしまって…落ち着かない。
「私達と一緒のクラスでしょ!?あんた知らなかったの!?」
「……うん」
私はクラスで一番前の席だ。だからあまり後ろの席を見ない。私が知ってると言えば右隣の席の亜美と左隣の持田君ぐらいだ。