屋上で



教室へ帰ると、女子数人に囲まれた。



あぁ――…
なんかデジャヴが…




「ねぇ、波里さん。風上君と付き合ってるの?」



「っ!つ、付き合ってないよ!」




何でもうバレてるの!?




「そう。なら私達の恋、応援してくれるかしら?」




うぁぁー嫌だ。協力したくない。
でも、ここで断るとマズいし…




何故かこの時間は教室に居る人数が少ない。だから、他クラスの子が出入りしていても事を荒立てない限りは不自然でも何でもないんだ。
普通なら、こんな人数で囲まれれば皆が不思議がるんだけどなぁ…




「おい、何してんだ?」




私がどうしようかと悩んでいると、教室のドアからタイミング良く鈴木が入って来た。



「あ、鈴木君っ!」




1番ドアの近くに立っている子がすぐさま反応した。




「名前呼べなんて言ってねーよ。何してるかって聞いてんの」




相変わらずだなぁ…この人。口悪だ。でも…




「な、何もないよ!」


「う、うん、ちょっと聞きたいことがあっただけでっ!」


「じゃ、じゃあね、波里さん!」




そう言って彼女たちは去って行った。
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