屋上で


「最後の言葉はかすれて聞き取れなかったけど…

“茶一の心の声を聞けなかったのが心残りだ”って、そう言いたかったんだと思う。


っ俺が、姉貴に悔いを残させたまま逝かせちまたったんだっ!」




「話を聞く限り俺はそんな言葉を残す人じゃないと思う」




「……じゃあ冷時は何だと思うんだ?」




冷時になんか分かるわけがない。

こう問いを出したのは完璧に俺の八つ当たりだった。




「“茶一の傍に短い間しかいれなかったことが心残りです”――…じゃないか?」




「そんなのっ…
ただの推測だろ…?」




「茶一も同じだろ?
茶一の姉さん亡くなる前に言ってたじゃないか。
『茶一を愛してる』、『自分を責めるな』って。

そんな姉が弟に負荷のかかる言葉を発するわけない。出てくるわけがないだろ」




「そんな…姉貴が…」




「お前の姉さん素晴らしい人だと思う」




「…姉貴はやらねーぞ?」



「いらねーよ。
俺は千春がいれば良い」




ったく…コイツにはかなわねーよ。
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