屋上で


もう、あんな事を言っとけば良かったとか


ああすれば良かったなんてのは懲り懲りだ。



「そうだな。これからは俺のこと“茶一”って呼んでも良いぜ?」




俺は千春に言ってみた。勿論からかうためだ。
誰をかって?


そんなの決まってる。




「遠慮するっ!恥ずかしいし、鈴木の方が慣れてるからっ!」




「…茶一、千春は渡さないから。

それに千春も呼ばなくて良いから」




あぁ、やっぱり冷時は面白い。予想通りの反応をくれる。


だから。




「えー…千春、あの時は俺と“あんなキス”したのに?」




もっとからかいたくなる。




「鈴木!それを冷時の前で言わないでっ!」




「……あんな、キス?」




「ち、違うの!あれは…っ」




「………“あれ”って何だ?」




「しまった!す、鈴木も誤解解くの手伝ってよ!」




「まぁ、頑張れよ!
俺、入部届け出してくるから、ごゆっくり」




「事情は後だ。
まずは上書きからじっくりさせてもらう」




「ここ学校だよ!?」




「知るか。妬かせた千春が悪い」




「うわっ…ちょっと!?」





冷時、お幸せに。









-終-
< 232 / 235 >

この作品をシェア

pagetop