屋上で
もう、あんな事を言っとけば良かったとか
ああすれば良かったなんてのは懲り懲りだ。
「そうだな。これからは俺のこと“茶一”って呼んでも良いぜ?」
俺は千春に言ってみた。勿論からかうためだ。
誰をかって?
そんなの決まってる。
「遠慮するっ!恥ずかしいし、鈴木の方が慣れてるからっ!」
「…茶一、千春は渡さないから。
それに千春も呼ばなくて良いから」
あぁ、やっぱり冷時は面白い。予想通りの反応をくれる。
だから。
「えー…千春、あの時は俺と“あんなキス”したのに?」
もっとからかいたくなる。
「鈴木!それを冷時の前で言わないでっ!」
「……あんな、キス?」
「ち、違うの!あれは…っ」
「………“あれ”って何だ?」
「しまった!す、鈴木も誤解解くの手伝ってよ!」
「まぁ、頑張れよ!
俺、入部届け出してくるから、ごゆっくり」
「事情は後だ。
まずは上書きからじっくりさせてもらう」
「ここ学校だよ!?」
「知るか。妬かせた千春が悪い」
「うわっ…ちょっと!?」
冷時、お幸せに。
-終-