屋上で
「はぁ、やっとまけた」
聞こえてきた声は懐かしい覚えのあるもの。
私が二度と忘れることが出来ないと思っていた声だった。
「――…かざ、かみ君…?」
喉が渇く。つっかえて上手く声が出ない。
「波里?」
ダッ
私は彼と目が会った瞬間、彼のそばを通り抜け逃げた。
「ちょっと千春!お弁当!広げたままよ!」
亜美の声が後ろから聞こえたけど、私には気にする余裕がなかった。
どうして風上君がここに居るの…?
やっぱり人違いなんかじゃなかった…風上君は私の知っている風上君だったんだ…