屋上で
【冷時side】
「ったく…あの子は…」
波里が走り去った後、取り残された友人に俺は尋ねることにした。
「なぁ」
「!?…な、何?」
やはり俺の仏頂面が怖いのだろう。ビビりながら尋ねてくる。
「――…波里と仲良いのか?」
「えぇ!千春は私の親友よ!というより風上君は千春の知り合い?」
しかしさっきとは打って変わった態度。どうやら友人の話題で少し気が緩んだらしい。
「まぁ…中学からの同級生。それだけだ」
「でも、ただの同級生じゃないでしょ?」
「………」
えらく察しが良い奴だ。
「分かった。あなた、千春と話したいんでしょ?」
俺はその問いに迷いもなくコクリと頷いた。
「じゃあ、千春と話す機会を私がつくってあげる。でも1つ条件がある」
条件?
「私に何があったか話して。千春が避けて嫌なあなたに無理に会わせるのだから、私にも聞く義務がある」
「……先に波里に話してからじゃないと話せない。話した後ならいくらでも話してやる」
悪いが波里より先に誰にもこの話をする気はない。
そんな条件なら呑む事は出来ない。…仕方ない、自力でやるか。元々そのつもりだったしな。