屋上で


「千春は風上の本当の幸せを分かってない」




…そんなの、知らない。

でも、コレは私が考えた風上君に対して唯一出来る親切なんだって事は分かる。




「分からないよ!
でも、だから何!?
分からないなりに風上君の幸せを応援しちゃダメなの!?
ただ……私といたら幸せにならないことだけは分かってるの」




持田は何も悪くないのに八つ当たりをしてしまった。
……あぁ、私最低だ。

今、風上君は私を好きだと言ってくれているけれど、でもそれは少なからず昔の私がいじめられていたから気にしてくれて…その“気遣い”が“好き”に変わっただけなんだ。きっと風上君にとっては一時的な感情だ。風上君にはたくさんの女の子が言い寄って来るし、その内私にも飽きるだろう。


しかし、そうやって持田は私の発言に気にした様子もなく、いつもの軽い口調で答える。




「ははっ。それを風上に言ってあげなよ。何か変わるかも」




言ったってしょうがないよ…




「千春さ、風上に全部心の内を話してないでしょ?」





―――そんなの言えるわけない。

私の心の内を言ったらきっと皆に嫌われる。








―――――幸せを願うとか言いながら、本当は風上君の傍にいたいと思ってるなんて…
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