屋上で


「なぁ、千春」




あぁ、まだ私のこと"千春"って呼んでくれるんだ。
私は貴方に酷いことしかしてないのに…




「何で茶一は"鈴木"で俺は"風上君"なんだ?」




「へ?」




久しぶりの会話の始まりがこれ?



鈴木と亜美を見ると必死に笑いをこらえていた。




「俺のことは次から"冷時"って呼び捨てで」




「いや、それはぶっ飛び過ぎだよ!だから間をとってれ、冷時君とか…」




呼び捨てだなんて恐れ多すぎる。




「何で茶一は君付けじゃねーのに俺に君が付くんだ?」




「いや、だって鈴木は君とか付ける価値ないし…」




「おい!」



「茶一うるさい。今俺が千春と話してるんだ」




「…はいよ。黙りますよ…」




どうやら鈴木は風上君には逆らえないらしい。




「俺は千春に名前を呼ばれたい」




そして風上君は私の肩を寄せ、耳元に甘い声でささやいてきた。
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