屋上で


「千春。約束、今果たしなさい」




「えぇ!?でも、冷時辛そうな顔してるよ?
もうちょっと待った方が……」




「鈍感なくせに…一体あの無表情からどうやって心境を読み取ってるのよ、アンタは…」




「見れば分かるよ」




冷時は分かりやすいから。




「そう…千春がそんなに言うなら風上は辛いのかもね。
だったら尚更、約束を今果たしなさい」




「えぇ!?」




そんな勝手な…と思ったけれど、次の亜美の言葉に私の言葉は止まる。




「……約束果たしてくれないの?」




「う……わ、分かったよ…」




私は鈴木と冷時の近くに移動した。




一度深呼吸して口を開いた。




「冷時、私冷時に話したいことがある」




「屋上行くか?」




「良いよ。ここで話す」




亜美も鈴木も知ってるし。
それに何よりけが人を移動させるわけにはいかない。




「俺が嫌だ」




「でも、背中…」




「大丈夫だ」




冷時は行こうと言って私の手を握り、歩き出した。
< 89 / 235 >

この作品をシェア

pagetop