屋上で
「千春。約束、今果たしなさい」
「えぇ!?でも、冷時辛そうな顔してるよ?
もうちょっと待った方が……」
「鈍感なくせに…一体あの無表情からどうやって心境を読み取ってるのよ、アンタは…」
「見れば分かるよ」
冷時は分かりやすいから。
「そう…千春がそんなに言うなら風上は辛いのかもね。
だったら尚更、約束を今果たしなさい」
「えぇ!?」
そんな勝手な…と思ったけれど、次の亜美の言葉に私の言葉は止まる。
「……約束果たしてくれないの?」
「う……わ、分かったよ…」
私は鈴木と冷時の近くに移動した。
一度深呼吸して口を開いた。
「冷時、私冷時に話したいことがある」
「屋上行くか?」
「良いよ。ここで話す」
亜美も鈴木も知ってるし。
それに何よりけが人を移動させるわけにはいかない。
「俺が嫌だ」
「でも、背中…」
「大丈夫だ」
冷時は行こうと言って私の手を握り、歩き出した。