《完》パーフェクトウエディング*社長の花嫁は16歳*
土曜日。


椿ちゃんの邸宅で、私は3年ぶりに祐君と会った。



「久しぶり~留奈」


私と祐君は父親同士が同じ会社だったから、幼い時から家族ぐるみで旅行や季節のイベントを楽しんでいた。


幼なじみの関係に近い仲。



私の知る祐君は私の同じ背丈だったのに、私よりも背が高くなって、精悍な顔つきの少年になっていた。



「結婚したんだって~」


「うん、まあ~」
フッた相手に自分から結婚しましたと告げるのは気が引けた。



「『桐生建設』の社長さんだって??」


「うん」



二人でもっと、ゆっくりと話がしたくて、バルコニーの外に出た。



闇に染まった茂み、その向こうにぼんやりと浮かぶ黄金色の月。



身体に纏わり付く夏の夜風を不快に思いながらも、3年ぶりに会う祐君と話し込む。
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