わき役の私
廊下を少し歩き、人のあまりいない階段側まで来ると、
背を向けていた朝倉君がクルッと向きをこちらに向け、私を見る。
綺麗な顔が怒ってる気がして、
理由を考えるがわからない……
「あのっ…」と控えめに声を掛ければ、
「中山はさー」といつもより低めの声で朝倉君が私を呼んだ。
「あんな、深町の事聞く奴らほっとけば良いんだよ。深町が何か思ってるならまだしも……ってかそうだとしても、中山は相手しなくて良いんだよ」
……………え……
それは、怒ってるような顔からは想像しなかった言葉。
そのまま朝倉君は、目線を下に向けた。
途端に私はビクッと肩を震わせる。
それは…
捕まれたままだった左手。
その手の甲を親指で撫でる朝倉君の手。