わき役の私
その手と、朝倉君の目がとても優しく見えて…勘違いしそうで…
胸のドキドキがハンパないくらい高まった。
私は、目をキュッと閉じる。
………朝倉君は、きっと…美砂が好きで、私を通してでも男子から美砂の事聞かれるのが嫌なんじゃないか……
そんな考えが浮かんだ瞬間、私は閉じた目をパッと開く。
そして、素早く左手を引っ張り、朝倉君の手から逃れた。
離れた瞬間、何だか寂しい気持ちに包まれたけど、それは気づかないふり。
「あのっ…聞かれても、美砂の事は適当に答えるから大丈夫だよ…それに美砂の相手が朝倉君なら誰も文句は言わないから!!」
ちょうどチャイムが鳴った事を良いことに、
「じゃあね」と言って朝倉君に背を向けて走り出す。