わき役の私
「どうしたの?」
私が聞くと敦は、
「お前が前に読みたいって言ってた漫画、友達から帰ってきたから貸すわ!ちょい、教室に取りに来いよ」
と親指で、教室のある方向を差しながら言った。
そのまま敦に着いて教室へ行く。
昼休みなので、人がまばらな教室で、迷わず自分の席に行く敦をそのまま追って行くと、自分の席だろうと思われる場所で漫画を取り出した。
「ほらよ」
手のひらに乗せた敦は、
「返されて持って帰るの面倒だから、読み終わったら、家のポストに入れといて」
とふざけて言う。
それに吹き出して笑う私だったが、
ふっと視線を感じて、そちらを見る。
そこには、席に座って数人の男女に囲まれながらもこちらをジッと見る朝倉君の姿があった。
その目が睨んでるみたいだったので、私は居づらい雰囲気に包まれた気がして、敦に一・二言言ってから教室を出た。