わき役の私



と……盛り上がってたところで、
チャイムと共に先生が
「出席取るぞ~」と空気の読めないだらけた声を発して教室に入ってきた。




朝倉君は、名残惜しそうに私を見て、
「またな、会いに来るから」と笑顔で言って教室から出て行った。


興奮が冷めないクラスメートも皆席に着きはじめ、
私も習って席に戻ろうとすれば肩を軽く叩かれる。


それはクラスの女子数人で、

「おめでとう!何か少女マンガ見てるみたいでドキドキしちゃった」

と言いながら席に戻って行った。




………少女マンガ……


もしそうだとしたら、
主役は確実に私……






今まで自分はわき役だと思ってた。





ずっと、主役の王子様探しを手伝う役だと考えてた。






でも、今この瞬間から…………いいや、違う………。





生きてる限り、実は皆主役なんだ。
ただ、一人一人にストーリーがあって、
私のストーリーは自分が主役だとわかりづらかっただけ………。



 
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