わき役の私
朝倉君は私たちとは別のクラスだが、美砂と委員会が同じらしく、こうやってちょこちょこ美砂のところへ来るんだ。
2人とも美男美女なものだから、2人が並ぶと周りが羨ましくなるくらいお似合いなんだ。
だから自然と「2人は付き合ってるのか」と疑いも出てくる。
「はい!4限目までに返してね?」
美砂がバックから教科書を出して朝倉君に手渡す。
朝倉君は笑いながら「サンキュー」と言うと教科書を取り、私の方をチラッと見た。
「見ちゃいけなかったかな」と思いながら、私は慌てて目線をそらした。
その内朝倉君は「じゃあ、またな!」と美砂に言う。
美砂が「またね!」と答えたから去って行くのかと思ったが、
続いて「中山もまたな?」と、私に言葉が投げかけられた。
驚いて、朝倉君の顔を見れば、その目は私を見ていて、
改めて自分に言われた言葉だと確信した。
「あ…うん…また…」
驚きながら答えれば、朝倉君はフッと笑って去って行った。