年下のカノジョ~あの子は高校生~
 人を好きになるって不思議だ。

 たかだか携帯の番号を交換しただけで、こんなにも幸せになれるんだから。



 ニマニマと頬の緩む俺の視界の隅に、壁に書けた時計が映った。


 はっと我に返る。

「やっべー!!!」


 かけ布団を蹴飛ばし、ベッドから飛び降りた。




 由美奈ちゃんとの待ち合わせは3時だけど、その前に洗濯して。

 スーツもクリーニングに出しておかないと。

 あー、今日は母さんの誕生日だから、実家に顔出さなきゃ。


「まったりしすぎたー!!!」


 絶叫しながら、俺は洗面所に走って行った。







 喉に押し込むようにして、朝食を済ませた。
 
 そして、着替えるためにクローゼットに向かう。

「どうしよう。
 何を着て行こうか・・・・・・」

―――由美奈ちゃんはどんな服に好感を抱くのかな。

 クローゼットを全開にして、あーでもない、こーでもないと悩む。



「あまりガチガチに気合を入れても、引かれそうだよな」


 次々に服を引っ張り出しては、悩みまくる。

 これまで、女性の目を気にして服装なんて決めたことがなった。

“自分の好きな人に、少しでも良く思われたい”なんて、これまでに考えたことがなかった。



 やっぱり、由美奈ちゃんの存在は特別。



 散々悩んだ結果、濃紺のVネックセーターにブラックのジーンズ、少し厚地のトレンチコートを選んだ。
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