年下のカノジョ~あの子は高校生~
 時刻は1時30分。

 どうにか事故を起こさず無事に到着。



「おじゃましまっす!」

 ばたばたと玄関を駆け上がり、リビングへと入る。

「いらっしゃい、待ってたわ」

 そこには母と、義姉さん、そしてちびっ子たちの姿に並んで兄貴がいた。



「あれ?
 兄さん、仕事は?」
 母さんに花束を手渡しながら、尋ねた。

「お前が料理を作りに来るって聞いたから休んだ」
 真面目な顔でいう我が兄。

「はぁ?!」

―――そんな理由で仕事休むなよ。



「冗談だ。
 今朝、出張から帰ってきて、今日は休みなんだ。
 そんなことより、俺は腹が減って倒れそうだよ」

 兄貴が大げさに言うと、横にいた甥っ子たちも『おなかぺこぺこぉ』と、声を揃えて騒ぎ出す。


「ごめん、ごめん。
 急いで用意するから」

 ちび達の頭をなでてやってから、俺は台所に向かった。





 家族の誕生日には俺が料理を振舞うというのが、いつの間にか定着した。



 品物をプレゼントするよりも喜ばれるしな。

 まぁ、コックの俺がしてあげられるのは料理くらいだし。



 時間のかかるブイヤベースから調理を始め、子供でも食べられそうな手軽な前菜や、サラダを出来上がった端からリビングへと運ぶ。


 先に出した料理が思いのほか早く減ってゆくのを見て、慌ててブイヤベースを持って行った。




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