年下のカノジョ~あの子は高校生~
「みんな、食べるの早すぎだよ」
 苦笑しながら、テ-ブルの真ん中に鍋を置く。


 食欲旺盛な彼らにはちまちま一皿ずつ盛り付けるよりも、鍋ごとドーンと出して、好きなだけ取り分けてもらった方が喜ばれる。
 
 どうせ、家で食べてるんだから体裁とか気にすることないし。


「自分達で好きなだけよそって食べて」
 俺は上着に手を通し、帰り支度を始める。




「あら、正和君は食べないの?」
 里香義姉さんが言う。

「このあと予定があってさ。
 悪いけど、もう行かないと」

「そうなの?
 だったら忙しい思いをさせちゃってごめんなさいね」
 母さんが取り分けていた手を止める。

「いや、こっちこそ。
 もっと早くに来るはずだっだのに、遅れちゃったし」
 じゃ、と立ち去ろうとした。



 すると兄貴が言う。

「お前、顔つきが変わったな」




「え、そう?」 
 
 正月に会ってから約3ヶ月。

 たった3ヶ月で何がどう変わったのだろうか。



 首をかしげると、義姉さんが教えてくれた。

「何だか穏やかになったんじゃない?
 幸せそうって言うか」


「へー、彼女でも出来たか?」
 すかさず兄貴が突っ込む。




「うっ。
 そ、その・・・・・・。
 まだ彼女は・・・・・・」
 

 俺の片思い中だから由美奈ちゃんは『彼女』とは言えない。




 これ以上余計なことを詮索されないうちに帰る事にしよう。

 時間もないことだし。
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