年下のカノジョ~あの子は高校生~
「ああ、気にしないで。
 喜んでもらえて何よりだよ」
 けんた君の無邪気にはしゃぐ様子が微笑ましくて、俺はくすりと笑う。


「柏木さんも何か見てきたら?」

「はい、そうします」


 由美奈ちゃんはさすがにけんた君とは違って、走り出すことはない。
 
 ざっと店内を見回したあと、猫のコーナーへと進んで行った。
 
 

 そして丁寧に1匹ずつ、仔猫を眺めている。

 とてもいとおしそうな視線で。



 そんな彼女を見て、俺の心の中もいとおしさで一杯になった。



 熱心に眺めている由美奈ちゃんの邪魔にならないように、1歩離れて横に並んだ。

「猫が好きなの?」

「そうですねぇ。
 犬もウサギも好きですけど、やっぱり一番は猫ですねぇ」


 ケージに入っているアメリカンショートヘアーの仔猫は、自分の顔ほどもある大きさのボールにじゃれついている。

「かわいいなぁ」
 ポツリと漏らす由美奈ちゃん。



―――由美奈ちゃんのほうが何倍も可愛いよ!
 
 のどまで出かかった言葉を、俺は飲み込んだ。





「そちらの猫がお気に入りですか?」
 
 猫と由美奈ちゃんばかりに気を取られていた俺は、店員がそばに来ていたことに気がつかなかった。



―――ここは俺たちのラブラブ・スイートエリアだぞ!
   入ってくるな!!

 


 もちろんそう思っているのは俺1人だけどね・・・・・・、くすん。
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