年下のカノジョ~あの子は高校生~
「落ち着く場所っていうの、分かるなぁ」
 由美奈ちゃんが言った。

「ん?」

「前に私が襲われた時、抱きしめてかばってくれたじゃないですか。
 ほんのちょっとの時間でしたけど、その時思ったんですよ。
“すっごく落ち着くなぁ”って」

「あ、あれはつい、とっさに・・・・・・。
 ご、ごめんね。
 やましい気持ちがあった訳じゃなくて。
 その、本当にごめん」


 あの時、何であんな大胆な行動をとってしまったのか。

 恥ずかしさと後悔の念で押しつぶされそうな俺。



「そんな、気にしてませんからっ」
 と、両手をぱたぱたと振って彼女が言った。

「本当?
 ならよかった。
 訴えられたらどうしようかと思ってたよ」


 冗談めかして言ったけど、正直なところ、文句の一つが出てもおかしくはなかった。




 だって。

 がっちり、しっかり抱きしめちゃってたもん。


 1ヶ月も前のことだけど、今思い出しても冷や汗が出るぜ。




「私は助けてくれた人を訴えるほど、心が狭いわけじゃないですよ?」
 くすくすっ、と由美奈ちゃんが笑った。

「三山さんのおかげで無事に済んだんですから、逆に感謝してますって。
 ・・・・・・あ、いけない。
 弟のこと、ほったらかしにしちゃってた」

 きょろきょろと店内を見回し、熱帯魚のコーナーで弟クンの姿を見つけた由美奈ちゃんは小走りで駆け寄って行った。



 その後も店の中を見て回って動物達とふれあい、1時間ほどして俺たちはペットショップを出た。
 





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